イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
「たくみーーー」


何年ぶりかに見るかのような気がする、この姿。

二度と触れることができないかと思った、この顔、この声。


……だめ。

涙で前が見えないよ。

あたしは、拓海をがっしり抱きしめて、思わずわーわー泣いてた。


「ママぁ? ママぁ?」


拓海は、あたしの様子に驚いたのか、あたしの頭を手のひらでペシペシ何度も叩いた。

力加減を知らない拓海に叩かれると、はっきりいって痛い。

でも、その痛みさえ今はうれしくてたまらない。


拓海を抱きしめたまま、リビングに入る。


……何も変わってない。

美咲お姉ちゃんの遺影が飾ってある。


一番最初の、あたしのよく知ってる世界に戻ると。

まるで、今までのことが夢だったかのように思えてくるよ。
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