六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「そうだ」
あたしは思いついて、岡崎さんの部屋へ向かった。
「岡崎さん、いますか?」
ノックをすると、岡崎さんはのっそり出てきた。
「何の用だ」
「留衣さんに連絡を取りたいんです。
大した事じゃないんですけど」
「……そうか。ほら」
岡崎さんはそっけなく、あたしに一台のスマホを渡す。
「大したことないなら、これで十分だ。
霊力を込めてあるから」
「ありがとうございます!
すぐお返しします!」
あたしはスマホを受け取り、自分の部屋へ直行した。
清良は一度実家に戻ると言ったから、今はいない。
「忍者がスマホ……」
岡崎さんのスマホは、その髪とお揃いの色をしていた。
業務連絡以外、使ってなさそうだな……。
あたしはちょっぴり面白くなりながら、留衣さんに電話をかけた。