六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


その日の夕方……


戻ってきた清良と一緒に夕食を作ったあたしは、岡崎さんの部屋を訪れた。



「今度は何だ」



不機嫌そうな岡崎さんは、
エプロンをしたあたしの姿を不思議そうに眺めた。



「夕食、一緒に食べましょう」


「いらないと言っただろう。

もう忘れたのか」



予想通りの反応。


あたしは息を吸って、大きな声を出した。



「これは、夢見姫の命令です!」


「……なんだと?」



岡崎さんはみるみるうちに額に深い皺を作る。



「これ、さっき来ました。

留衣さんからの式神です」


「?」



ポケットから小さな折鶴を差し出すと、岡崎さんは呪文を唱える。


すると鶴が自然に開いて、そこに文字が現れた。



『依頼主からの命令。

まりあ、太一君、清良さんと仲良くすること!』


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