六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「普通に干してた……」
汗だくの清良が、二人分の下着を奪還してきていた。
「やっぱり……」
瑛さんがいるせいで、この家には作らなくていいルールが増えそうだ……。
「男女一緒って、やっぱりありえなかったんじゃ……」
「違う、瑛に一般常識がないだけ!
ったく、もう!」
清良が言った言葉はもっともだった。
一般常識もそうだけど……
彼には人として、明らかに何かが欠けている。
「一般常識、教えてあげなきゃ!」
裸を見られて、リアクション一つとられなかったのが不満なわけじゃないけど。
あたしは不意に、そう思った。
じゃないと、もし忍者を辞めたくなったときに、どこに行っても通用しない。
何故かあたしは、彼が心配でならなかった。