六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


「普通に干してた……」


汗だくの清良が、二人分の下着を奪還してきていた。


「やっぱり……」


瑛さんがいるせいで、この家には作らなくていいルールが増えそうだ……。


「男女一緒って、やっぱりありえなかったんじゃ……」


「違う、瑛に一般常識がないだけ!

ったく、もう!」


清良が言った言葉はもっともだった。


一般常識もそうだけど……

彼には人として、明らかに何かが欠けている。


「一般常識、教えてあげなきゃ!」


裸を見られて、リアクション一つとられなかったのが不満なわけじゃないけど。


あたしは不意に、そう思った。


じゃないと、もし忍者を辞めたくなったときに、どこに行っても通用しない。


何故かあたしは、彼が心配でならなかった。



< 110 / 691 >

この作品をシェア

pagetop