六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「あの……さっきのことですけど」
学校に行く道すがら、瑛さんに話しかける。
清良と太一は、二人で漫才をしながら、
楽しそうに何歩か先を歩いていた。
「さっきのこと?」
「脱衣所に無断で入ってきたことです。謝ってください」
「なに?謝れだと?」
瑛さんが、何を言われているのかわからないという顔をするので、
ついイラッとしてしまう。
「みっ、見たでしょっ?
謝りなさいよ!」
「あぁ……見たような、見てないような……。
興味が無いから、あまり覚えてない。
だから謝らない」
こ、こいつ!!
過酷な修行をしてきたからじゃない。
本当に性格が悪いんだ!!
「そんな事はどうでもいいが、お前、力の方はどうだ。
何か変わった感じはないか」
「あっ、そう言えば!」
今朝の事件で忘れてたけど、そもそも変な夢を見たから寝汗をかいたんだった。