六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「夢を見ました」
「ほう。どんな夢だ」
瑛さんは、やっとあたしの話に興味を持ちはじめる。
「えっと……羽が見えました」
「羽?どんな?」
「すっごく、大きな羽です。
太一の鷹ちゃんの羽の、3倍くらい」
「ほう。何色だった?」
「真っ白でした」
瑛さんは、考えこむような顔をする。
「六花の翼……」
「はい?」
「お前の母親の予言にあっただろう。
【六花の翼】ってやつが現れれば、この世の混乱は収まる」
六花の翼……。
その言葉を聞いた途端、鼓動が早くなるのを感じる。
「あたしが見たのが、それなんでしょうか」
「さぁ……。
誰も見た事がないから何とも言えないな。
留衣さんが言うには、過去の文献にもそれらしいものは見当たらないらしいし」
そうなんだ……。
代々の夢見姫も、誰も見たことが無い。
そんなもの、ますますあたしの手におえない気がする。