六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


「他には、何を見た?

その羽は、どこから生えてたんだ。

まさか独立しているわけではあるまい?」


「えっ?」


珍しく瑛さんが話を繋げたのに……。


「……羽しか、見てません……」


「何だと?

他に何か見なかったのか」


「何も……」


あたしの答えが期待ハズレだったらしく、瑛さんはハアァと大きなため息をついた。


「で、でも、覚えてる事がありますっ」


「何だ?」


「なんか、すごく、切ないような……。

胸が痛いカンジでしたっ!」


……我ながら、何を言ってるんだろう……。


案の定、瑛さんは。


「…………役立たず」


そう言って、黙ってしまった。


チーン…………。



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