六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
清良と一緒に、教室に入る。
「まりあ、瑛にイヤミ言われたくらいで落ち込まないの!」
「別に、落ち込んでないよ……」
色気がない、役に立たない、守られるだけ。
何回も連呼されると、本来前向きなあたしもへこたれそう。
モラハラで訴えてやろうか……。
モヤモヤした気持ちで席に着くと、
固まって話をしていた女子グループが、話しかけてきた。
「まりあちゃんっ、今日一緒に来た人、彼氏っ?」
「えっ?」
突然の事に目を白黒させていたら、清良が近づいてきた。
「なに?何の話?」
「あ、清良ちゃん。
清良ちゃんは知ってるの?
あのイケメン!」
イケメン?
あたしと清良は、顔を見合わせた。
「とぼけないでよぉ。
まりあちゃんの弟君と、四人で歩いてたじゃない!」
「あ、あれは!違うよ、彼氏じゃないよ!」
「うわははは、瑛がまりあの彼氏!!イケメン!!」