六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
それにしても、綺麗な顔……。
本物の王子様みたい。
さっき瑛さんの話をしてた子達も、ボーッと見とれている。
「ロットン君は、留学で……」
誰も先生の話を聞いていない。
あたし自身も、良くできた作り物みたいなその顔ばかり、ぼんやり見ていた。
そしたら。
「……!」
やだ。
目が、合っちゃった。
彼は気にせず、にこりと目だけで笑ってくれる。
あたしは恥ずかしくて、思わず目をそらしてしまった。
あぁ、田舎娘が俺に見とれてやがるぜ、なんて思われたかも。
あたしはそのまま彼から視線をはずし続けた。