六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「そんなわけあるか。
平和ボケも大概にしろ、バカ共」
叱られて、あたし達は身をすくめる。
「留衣さんの話を忘れたのか?
まりあの夢見姫の力が目覚めたら、大変な事になる。
恋人なんかいたら、そいつが一番最初に命を狙われるんだ。
お前の力は、ヘタな核兵器より影響力がある。
ろくでもないやつに利用されたら、あっという間にこの世は乱世と化すぞ」
「核兵器って……」
「世界中を巻き込む戦争を起こしたいって言うなら、話は別だが?」
厳しい言葉に、あたし達は黙るしかなかった。
「……少しは気をつけろ」
瑛さんはため息をつくと、屋上を出ていく。
あたしはなんだか泣きそうになってしまった。
「姉ちゃん……へこむ事無いよ。
姉ちゃんは何も悪くないんだし」
太一が肩を叩き、優しく見つめてくれる。
「うん……。ありがとう、太一」