六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
あたし……バカだ。
ほんの少しだけど、
瑛さんがオーランド君に嫉妬したのかな、なんて思うなんて……。
あの人はどこまでも、真剣に仕事をしてるだけなのに。
「まりあ……ご飯、食べよう?」
清良も優しく話しかけてくれる。
あたしは何とか笑い返した。
「姉ちゃん……」
太一の透き通った大きな瞳が、あたしを映す。
「姉ちゃん、瑛さんの事気になってるの……?」
「え……っ」
「やめときなよ、あいつだけは……。
あまり深入りしないほうがいいよ」
いつになく真剣な太一の様子に、清良も言葉が少なくなる。
「こんな事言うのなんだけどさ……。
岡崎一族って、裏ではあまり、評判良くないんだよ」
「……どうして……?」
「大昔は、依頼の中でも自分達なりに選り好みしてたらしいんだ。
一族なりの正義に照らして、受ける依頼を決めていたらしい」