六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
ぼんやり視線を窓の外にやっていると。
濡れたガラスの向こうに、変な気配を感じた。
誰かに、見られてる……?
何故かはわからないけど、ただ漠然とそう思った。
まさか、そんな事あるわけない。ここは二階だ。
なのに……。
その正体不明の視線を感じた途端、心臓が激しく脈打ちはじめた。
胃から今朝食べたものが逆流してくるような気配を感じる。
「……安城、大丈夫?」
いつの間にか、額に汗が浮かんでいた。
ただごとでは無いと思った隣の席の男の子が、声をかけてくれる。
あたしはただ、首を横にふった。
「先生、安城さんが気分が悪いそうです」
「えっ?本当、顔色が悪いわね。
保健室に行ってきなさい」
授業をしていた女性の先生が指示をした通り、あたしは教室を出た。