六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「……なんや僕、猫ちゃんにまで嫌われとるんかいな」
「……えっ?」
「おいで。怖くないで」
オーリィはしゃがんで、猫に右手を差し出す。
猫は威嚇の姿勢を崩さない。
「……オーリィ、この子見えるの……?」
「うん。キレイな猫ちゃんやなぁ。
カレシに似てるわ」
オーリィが優しい声で言った瞬間、清良のスカートが翻った。
「清良……!」
清良の手には、西尾家の宝刀が握られている。
「わぉ、ジャパニーズカタナ!
清良はサムライなの?」
驚くと言うか、喜んでいるようなオーリィの喉に、清良が刀を突きつける。
「貴方は何者なの?」
「僕は陽気な留学生やで♪」
「ウソつかないで!」
清良が厳しい目でといつめる。
「普通の人間に、使い魔が見えるわけない」
「へぇ、ツカイマ。
この猫ちゃんはそういう名前?」
オーリィはのほほんと答えた。