六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
『瑛はどう思う?』
「何とも言えませんね。ただ、怪しいとしか」
『そうか……。まりあはどう思う?』
「えっ?」
自分に話がふられるのが予想外で、答えるまでに少し考えてしまった。
「……そんなに悪い人じゃ、ないと思います……」
「そんな事は聞いてない」
瑛さんが口を挟む。
『まあまあ瑛。
まりあ、何故そう思うんだい?』
「なんとなくですけど……
彼はあたしを殺そうとか、傷つけようとはしてないと……
思います」
はぁ、と瑛さんがため息をついた。
「まだわからないのか。
誰もお前をすぐ殺そうとは思ってない。
連れ去って、利用しようとしてるんだ」
『瑛、いいから』
留衣さんが優しくその場をとりなした。
『とにかく、オーランド・ロットンに関しては僕も調べてみる。
調査結果が出るまでは、油断しない事。
皆、良いかな?』
全員、静かにうなずくしかなかった。