六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
『ところでまりあ、力の方はどうだい?
瑛によると夢を見たり、
無意識に結界を解いたりしてるみたいだね』
「あ……でも、全然です。
昨日の朝方も夢を見ましたけど、ひどく断片的で……」
「何だって?聞いてない」
瑛さんは清良をにらむ。
「ちょ、まりあは寝言なんか言ってないから」
一応あたしの予言の記録者の役目も負っている清良は、慌てた。
「そんな、予言なんてモノじゃなくて、ただ……」
『ただ?』
「……怖くて、口にするのがはばかられて……」
良いから話せ、というような目で瑛さんがにらむ。
「この前の夢もそうなんですけど、
あたしは誰かの肩越しに景色を見てるんです。
昨日は、誰かの血が流れているのを見ました。
だけど、誰の血か、どうして流されたのかは、わかりません」
留衣さん含め、他の四人全員が黙ってしまった。