六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
『この前の翼の夢と言い……
本格的に物事が動きだす前兆かもしれないね。
くれぐれも注意するように』
手がかりが少なすぎるのか、留衣さんはそれしか言わなかった。
式神での通信が途絶えたあと、清良が切り出す。
「あたし達も……探ってみる?
オーランド・ロットンの周囲を」
男の子二人がハッとした目で清良の方を向いた。
「清良……」
「どう?瑛」
「…………」
瑛さんは腕組みをして、考えこんでしまう。
「やめようよ、清良さん。
もし変な術者だったらどうする?
返り討ちにあうよ」
「別に殴り込むわけじゃないわ。
家の場所とか、基本情報すら、ないじゃない。
避けるだけじゃ何にもならないわ」
「確かに……。
相手が常人じゃないとわかった以上、情報収集は必要だ。
仕方がない……俺が一人でやる」
瑛さんはきっぱり言った。