六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
のろのろと歩いていくと、すぐに人気のない畦道に差し掛かった。
右手には田んぼ、左手には林。
雨のせいか、世界全体が暗く見える。
靴には泥が跳ね、その中にまで雨水が侵入してきていた。
この道がせめて、アスファルトならな……。
そんな事を思っても、どうにもならない。
「とんだ誕生日になっちゃった……」
未だ気持ちの悪いのはおさまらない。
あ、家に着いたら清良に連絡しなくちゃ。
今日は一人で休もう。
ハンバーグもケーキも、まだ用意してないだろうから、明日にしてもらおう……。
食い意地のはったあたしは、今夜のごちそうがなくなる事にため息をついて。
とぼとぼと、あぜ道を一人で歩いた。
その途中。
曲がり角に差し掛かった時、異変を感じた。