六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
計画
「ん~……」
あれからあたしは、自分なりに念力を強くする訓練をする事にした。
「どうでしょう!」
「……まずい」
ガク。
まずいと言った瑛さんの目の前には、お味噌汁のお椀が置いてある。
朝食のお味噌汁に向かい、
(クラムチャウダーになれ!)
と念じてみたのだけど……。
お椀の中の液体は、奇妙な黄土色をしていた。
「……分子まで変えるのは無理でしょうか……」
「何でもいいから、元に戻してくれ」
「あ、はい」
もう一度念じると、奇妙な液体は普通のお味噌汁に戻る。
瑛さんはそれを一口飲んで、うなずいた。
「……なんか、新婚さんみたいじゃない……?」
「げっ!どんだけ亭主関白な新婚だよ!」
一緒に朝食を採っていた清良と太一が、眉をひそめた。
「変な事言わないで、二人とも早く食べて!」
そう言う内心は、迷惑なような、嬉しいような、微妙な気持ちだった。