六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
バチバチバチバチ!!
空間がスパークする音が林に響き、青白い光が目の前で点滅した。
「チッ!」
相手の舌打ちが聞こえた瞬間、体を拘束していた腕が緩められる。
その一瞬のすきをついて、あたしは道の方へ走り出した。
「はぁ、はぁ、はぁ……っ」
林から出ると、ちょうど目の前を車がゆっくりと通りかかる。
あたしは思わず手を上げた。
誰でもいいから、助けて……!
その願いが聞こえたかのように、黒い自動車は、あたしを少し追い越して止まった。
背後の林からは、通り魔が追いかけてくる足音がする。
あたしはたまらずに、自分から自動車に駆け寄った。
「すみませんっ、変な人に追われてるんです!
助けて下さい!」
助手席の窓から話しかけると、
中にいたスーツ姿の男の人が、こちらに顔をむけた。