六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
人を神様に仕立て上げるなんて……
本当にできるんだろうか。
あたしは、この前自分で雨雲を払った事を思い出した。
あんな風に、自分の意思のまま気象を操ったりしたら……。
それは奇跡なんかじゃない。
各地の農作物へ影響を及ぼしたり、
下手したら犠牲者まで出してしまう。
それは……凶器だ。
「無理です……。
あたしには、できません」
「まりあさん、詳しい話を聞いて下さい。
できれば、私どもの事務所で……」
「お断りします!」
きっぱり言うと、瑛さんがこちらを振り向いて……。
「……よく言った」
そう言って、口の片端だけを上げて薄く笑った。
「しょうがありませんね……
夢見姫と言っても、所詮ただのお子様なわけですね」
伊奈は少し下がったメガネを、中指で上げて。
「やはり無理矢理に連れていくしか、ありませんか」
そう、冷たい声で言った。