六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「えぇっ!!?」
森の木々が動き出す……!
あり得ない光景に、目を疑う。
枝を手に、根を足にして、
お札が貼られた木々が悪意を持ってあたし達を囲む。
「ウソぉ!」
「嘘じゃない!しっかりしろ!」
振り上げられた木の枝が、勢い良く降りてくる。
立ちすくむあたしを、瑛さんが軽々と抱いて飛び退いた。
「こんな式神使いがいるなんて……!」
清良が降り下ろされた枝を、刀で切る。
「来るぞ!」
瑛さんが言うと、その通りに、
木の葉がまるでカミソリのように、あたし達に降り注ぐ!
「きゃあぁっ!!」
「させるか!!」
太一の結界が、かろうじて味方を守る。
しかし、降り注ぐ木の葉は止まず、ついに結界を傷つける。
「!!」
何枚かが結界を通り、あたし達に襲いかかった。
「いってぇ!マジかよ!」
見上げた太一の横顔に、一筋赤い線が入っていた。