六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
最悪な誕生日
なんだろう。
あたしを包む、このぬくもりは。
まるで知らないようで、すごく懐かしいようで。
軽いようで、しっかりとした質量。
あぁ。
貴方だ。
貴方の腕が、あたしを抱きしめているんだ。
涙が出そうなくらい、幸せだよ。
呼吸をするだけで、肺が愛しさで満たされるの。
思い出した……貴方の香り。
あたしは、貴方を探していた。
求めていた。
そうなんだね。