六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「きゃあっ!!」
「っ!」
思わず目をつむってしまう。
あたしとサングラスの男との間に、突然強い風が通り抜けたのだ。
男も思わず、あたしの手を離した。
その反動で、急に体がぐらりと後ろに倒れる。
「……!!」
しかし、お尻が濡れた地面に付くことはなかった。
むしろ、両足がふわりと宙に浮く奇妙な感覚がして、瞼を開けると。
目の前に、知らない男の人の顔があった。
この世のものとは思えない、透き通るような白い肌。
色素がほとんどないような、銀色に近い長めの髪。
長い長い睫毛の下には、夜明けの空のような紫色の瞳。
それを左右対象に分ける、すっとした高い鼻。
なんて綺麗なんだろう…………。
呆然としていると、彼の形の良い唇が開いた。