六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「瑛さん!起きて大丈夫なんですか!?」
肩の傷に包帯を巻いただけの上半身に、
制服のズボンという出で立ちで、
瑛さんはフラフラと台所の流しに近づく。
「水を……」
「そんなの、あたしがやりますから」
瑛さんを無理矢理座らせ、コップに水を汲んだ。
「すまない」
瑛さんはそれを飲んで、息を吐いた。
「……大丈夫ですか?」
元々白い顔色が、ますます悪く見える。
額にはうっすらと汗がにじんでいた。
「何日かは戦闘は無理だろうな。
休めば良くなる」
「そうですか……あの、食事はどうします?
お粥を炊いたんですけど……」
「いらない。寝る」
「……そうですか……」
完全に拒絶されちゃった……。
シュンとしてしまうと、
アキちゃんが瑛さんの足にカプッと噛みついた。
「つっ!」
思わずアキちゃんの首根っこをつかんで、瑛さんが顔を歪める。