六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「何だお前、使い魔のくせに……」
「しゃーっ!」
アキちゃんは瑛さんに牙をむき、四本の足をバタバタさせる。
「俺にどうしろと言うんだ?」
「ににゃー!」
「は?何で?」
「ぎにゃー!」
「わかった、わかった」
アキちゃんと普通に話してる……。
親子喧嘩みたい。
やっぱりパパは気持ちがわかるのかなぁ。
呆気にとられていると、瑛さんがテーブルについた。
「……飯を食えだと」
「えっ?」
「そいつが、主人が作った食事を食わぬとは何事かと、怒ってる」
「アキちゃんが?」
聞き返すと、瑛さんのついていた肘が滑った。
「アキ……なんだって?」
「アキちゃん……。
この子の名前です」
「……何で?」
「似てるから……瑛さんに……」
「…………」
言ってしまって、何だか恥ずかしくなってしまった。
瑛さんは難しい顔で黙ってしまう。