六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「あ、お粥持ってきます!
煮物もありますけど」
「……粥だけでいい」
カプッ。
またアキちゃんが、瑛さんを噛んだ。
「っ!食えば良いんだろう!
……お前、使い魔にどういう教育したんだ?」
「え?特に何も……ぷっ」
アキちゃんと瑛さんがにらみあってる。
そんな事で、さっきまでボロボロだった心が温まった。
「はい、どうぞ」
「…………」
瑛さんは左手でレンゲを持ち、器に入れるが。
右手が使えないため、器が動いてしまい、どうにも食べにくそうだ。
「あの」
「何だ」
「ちょっと、貸してください」
あたしはレンゲと器を奪った。
「ふー、ふー」
「……」
「はい、あーん」
「……」
瑛さんは心底嫌そうな顔をしたが、
またアキちゃんにカプッとされてしまうので、黙ってそれに口をつけた。
「おいしいですか?」
「……味がわからない」