六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「ええっ、清良、嘘でしょ!」
「嘘じゃない。
けど、そんなに心配する事でもないよ」
月曜の朝、制服に着替えながら清良が言ったのは。
しばらく、実家に帰るという事だった。
「このままじゃヤバイからさ……。
パパに必勝法無いか、聞いてくる」
この前の戦闘で、伊奈の式神にやられた事がこたえたらしい。
「今のままじゃ瑛にさえ勝てない。
それじゃまりあを守れないから」
「清良……」
清良の気持ちはすごく嬉しい。
だけど。
「じゃあその間、女子はあたし一人なんだね……」
途端に心細くなってしまう。
もちろん他の二人だって仲間だけど、
同じ女である清良は、やはり心の支えなのだ。
一番、気持ちをわかってくれるし。
落ち込んでいたら、台所で太一まで信じられない事を口にした。
「俺も、安城家に帰りたい」
「ええ~っ!?」