六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


教室に着くと、しばらく後で清良が入ってきた。


こうして普通に学校に来れたのが、久しぶりな気がする。


「ちょっとまりあ、なに瑛と先に行ってんのよ」


「別に……。

また、お説教されただけだよ」


ふうんと言った清良の目は、何かを疑っているようだった。


「おはよー、まりあ、清良!」


「あ、オーリィ……」


そうだった。

学校に来たらこの人がいるんだった。


「あ、この前はどうも」


清良が軽く頭を下げる。


「いやいや、気にせんといて」


オーリィはいつものニコニコ顔だ。


「そーや、まりあ、この前の食べ物、美味しかった!

おおきに!」


「あっ、本当に?良かった~」


と普通に話していると……。


「まりあ、自分の正体も明かさないやつに、気を許さないの!」


清良に怒られた。


「そんなん言ったら、カレシだって、あかんやん」


オーリィが口を尖らせる。


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