六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「メガネのオッサンが言うてたやろ。
岡崎の者といい僕といい、
まりあの周りには意外なやつが、ぎょーさんいてるって。
つまりオッサンにとっては、まりあとカレシが一緒にいる事も意外なんや。
こりゃ、岡崎一族には何かがあるで」
オッサンって……
あの人どう見ても、30代前半だからその呼び方は可哀想な気もするけど。
それより……。
「何かって……?」
「それは知らんけど。
ええの?教室でこんな話してて」
ハッとしたあたしと清良は、口を手で押さえた。
オーリィは笑いながら、他の友達に挨拶をしながら離れていく。
「ホントに何なのよ……気味が悪い」
「…………」
でも、全く的外れな事は言ってない。
しかも何気に岡崎一族を知ってるみたいだし。
それに友達のように、普通に話をさせるあの引力。
あたし達は彼にこそ、底知れぬ不気味さを感じていた。