六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
昼休み、あたしは屋上に行った。
その前の休み時間に、太一からメールがあったんだ。
『たまには二人で昼飯食おうよ』
って。
何で二人なんだろう?毎日うちで一緒なのに。
少し不思議に思いながら階段を上がり、扉を開くと。
むわっと、夏の暑い空気がまとわりついた。
「あっつ……。
さすがに人はいないか……」
「マジあちぃ。
日陰行こう、姉ちゃん」
「太一!」
いつの間にか後に立っていた太一が、にこりと笑った。
「ホラ、麦茶」
「わぁ、気がきく!」
貯水タンクでできた日陰に入り、お茶を飲んだ。
「ちょっと、結界張るね」
「えっ?」
「話があるから……」
太一はブツブツと真言を唱え、
あたし達の周りだけ隠すようなミニ結界を作った。
「話って……どうしたの?
結界張らなきゃいけないような話?」
座ったまま見上げると、太一は眉を下げた。