六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「あのさ……」
「うん?」
「姉ちゃん……
瑛さんの事、どう思ってんの?」
「……は?」
何で太一まで、清良みたいな事を言うんだろう。
「別に……
仕事熱心な人だと思うけど」
「本当に?」
「うん……」
何だか胸焼けしたような気分になって、またお茶を飲む。
「姉ちゃんさ……。
今まで見たことないような顔してるよ」
「えっ?」
太一の声がいつもより低く響いて、驚く。
何て?見たことない顔……?
「気づいてないの?」
「何が言いたいの……?」
「…………」
太一が、あたしに顔をよせた。
かと思うと、突然視界が白くなる。
「たい、ち……?」
気づけば、あたしは太一の腕の中にいた。
見た目よりたくましい腕の中に……。
「ちょ、なに?太一?」
汗が吹き出るのは、夏の暑さのせいだけじゃない。
なに、これ……。