六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
するとうなずいたサングラスの男が、突然銀髪の彼に拳を突き出す。
殴られる!
そう思った瞬間、また体がふわりと浮いた。
銀髪の彼があたしを抱いて、後ろに飛んだのだ。
人間とは思えないほどの力と、跳躍力で。
彼が着地すると、足元でパシャリと水音がした。
「ここにいろ」
それだけ言うと、こちらに向かってきていたサングラスの男に向き直る。
「……式神(しきがみ)か」
ぼそりとこぼすと、これまた人間とは思えない速さで、
追いかけてきたサングラスの男に向かって、何かを構える。
いつの間に取り出したのか、その右手には金属で出来た短い矢が何本も握られていた。
「消えろ!」
その手が突き出されると同時に、矢が放たれ、風を斬る!
「!!」
その矢は容赦なく、サングラスの男の体に突き刺さった。