六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
日曜日、太一と清良はそろって玄関に立った。
「じゃあまりあ、何かあったら、
誕生日にあげたスタンガンを使うのよ!」
「俺があげた防御力アップの香水もね!」
いつもと変わらない顔で、太一は笑う。
あたしは少しほっとした。
「うん、使うよ。
てか、香水は毎日使ってます」
「あ、そうだった。
良い臭いしたもんな……」
と言って、太一はあわわと口をふさぐ。
「何?姉ちゃんのニオイを意識してかいでるわけ?
太一ぃ、やめてよ禁断の恋は。
ドキドキしちゃう」
「清良!」
「清良さんのバカ!」
屋上で抱きしめられた事を思い出してしまう。
自分とは違う堅い感触だった。
って、バカバカ!
思い出しちゃダメだ。
相手は弟なのに、動揺してしまう。
後にいた瑛さんが、
不思議そうな顔であたし達姉弟を見ていた。