六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
二人が行ってしまうと、家は途端に静かになってしまった。
リビングには小鳥の姿をした留衣さんの式神が何匹かいて、落ち着かない。
伊奈も傷を負っていたから、そんなに早く襲撃はされないだろうけど。
もしピンチになったら、この小鳥が虎になるのだそうだ。
かなり遠くから力を送るわけだから、かなり霊力を消耗するらしい。
まぁ、とにかく……。
落ち着かない。
身内でもない男の人と二人きりだもん……。
「にゃー!」
「あ、ごめんアキちゃん。
キミもいるよね」
「その名前……
どうにかならないのか」
ビクッ。
「瑛さん……」
もう、怖いよー。
この人、足音しないんだもん。
「別に、良いじゃないですか……」
「フーッ」
「チッ……」
アキちゃんはすっかりあたしになついていて、
瑛さんが意地悪を言うと、すぐカプッと噛みつくようになっていた……。