六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


瑛さんがあたしを連れてきたのは、

この前伊奈と激しい戦いをした森だった。


あの時式神にされた木々が倒れていて、

ちょっとした空間ができていた。


それでもまだ木の茂る森は、うちの庭よりは涼しい。


「とにかく、念じる事が基本だ。

使い魔に霊力を送って、姿を変えてみろ」


「はい?いきなりですか?」


言い返すと、ぎろりとにらまれた。


そうだった。

もう、『素人だから出来ない』は通用しないんだ。


「ん~……」


「具体的に、どんな姿にしたいか思い浮かべろ」


「んん~……」


足下のアキちゃんは行儀良く座って待っている。


どうしよっかな~。

やっぱ、太一や留衣さんみたく、鳥系?


でも元は猫だし、ライオンとかトラ?


でもどうせ一緒にいるなら、イケメンがいいな……。


あ。いるじゃん。

こんな身近に、イケメンが。


< 224 / 691 >

この作品をシェア

pagetop