六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
瑛さんがあたしを連れてきたのは、
この前伊奈と激しい戦いをした森だった。
あの時式神にされた木々が倒れていて、
ちょっとした空間ができていた。
それでもまだ木の茂る森は、うちの庭よりは涼しい。
「とにかく、念じる事が基本だ。
使い魔に霊力を送って、姿を変えてみろ」
「はい?いきなりですか?」
言い返すと、ぎろりとにらまれた。
そうだった。
もう、『素人だから出来ない』は通用しないんだ。
「ん~……」
「具体的に、どんな姿にしたいか思い浮かべろ」
「んん~……」
足下のアキちゃんは行儀良く座って待っている。
どうしよっかな~。
やっぱ、太一や留衣さんみたく、鳥系?
でも元は猫だし、ライオンとかトラ?
でもどうせ一緒にいるなら、イケメンがいいな……。
あ。いるじゃん。
こんな身近に、イケメンが。