六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「にゃはは~♪」
抱きつかれたアキちゃんは、嬉しそう。
「……お前には、他の才能があるのかもな……」
「え?」
「何でもない。帰るか」
……元に戻せって言わない。
確かにアキちゃんは、普通の人には見えないけど。
「にゃん♪」
アキちゃんがあたしの手を引き、
空いた手で瑛さんの手をとった。
「おい、離せ」
「フーッ」
「アキちゃん、離してあげて。
困ってるから」
「フンフンフーッ!」
アキちゃんは首を激しく横に振る。
「もう……元に戻すよ?」
「ににゃあ~ん」
いや~んと言ったようだ。
それだけはあたしにもわかった。
「チッ……。
もういい、このまま帰るぞ」
「あっ、はい」
「にゃい♪」
何故かあたし達は手を繋いで、家までの道を歩き出した。
何か……変なの。
笑えてきちゃう。
しかし家に着くと、楽しい気分は消えてしまった。