六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
サングラスの男は言葉にならない叫び声をあげて、その場に倒れた。
思わず目をつむりそうになったけど、次の瞬間には。
倒れた男から、白煙がシュウシュウと音を立てて登った。
「なに……?」
呆然とするあたしを置いて、銀髪の彼がそちらに歩み寄る。
彼が手を横に振ると、白煙が徐々におさまって……。
「えっ!?」
倒れたはずのサングラスの男が、いなくなった。
まるで、手品のように。
しかしそれは、あたしの見間違えだった。
サングラスの男はいなくなったのではなかった。
「……こんな紙切れで何をしようと言う?」
銀髪の彼が、サングラスの男が倒れた跡から何かを拾い上げる。
あたしにはそれが、ただの紙切れに見えた。
銀髪の彼が転がった一本の矢を握り、その紙を突き刺した。
すると、まるで耳を裂くような悲鳴が辺りに響いた。