六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「なにその、目と目で通じ合う…的な雰囲気は」
「そんなことないよ。
ただアキちゃんを変身させるのに失敗してね……」
言いかけたところで、テーブルの下で何かが振動する音が聞こえた。
「誰かの携帯?」
「……留衣さんだ」
おぉ、と全員が身を乗り出す。
瑛さんにスマホは激しく似合わないから、珍しいのだ。
「はい……はい、どうも。
はい、全員います。
……はい?」
あわせて、低姿勢の瑛さんも珍しい。
皆で注目していたら、話をする瑛さんの眉が歪んだ。
そして一旦スマホを顔から離し、あたし達の方を見た。
「……夏休み中に、全員で留衣さんの家に来ないか、だと」
何で、と聞く前に、太一と清良が「行く!」と答えた。
また新幹線に乗れる~♪と、はしゃいでいる。
瑛さんは呆れたように額を押さえながら、
「……行きたいみたいです」
と答えた。