六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
留衣さんの申し出はこうだ。
夏休み中、音羽の家に居続けないか。
音羽家は狙われやすいが、
結局こちらの居所も大体つかまれているみたいだから、
戦力を分散させておかない方が良いだろう。
だって。
というわけで……。
「新幹線キター!!」
またあたし達は、そろって新幹線に乗る事になった。
「今回は姉ちゃんの隣!」
「えっ?あ、うん」
「はいはい。
瑛、悪いわね、あたしが隣で」
「……俺は別に、どこでもいい。
……あ、おい、お前」
素っ気ない瑛さんが、何かに気付いたようにあたしを見た。
「あの外国人に……報告したのか?」
「……あ!」
そうだ。
オーリィが戦闘に手を貸してくれると言ったのに。
「忘れてた……!」
怖かった夢の内容を終業式の夜に報告するのにいっぱいいっぱいで、
その前の事なんかサッパリ忘れていた。