六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「……音羽家の位置を教えるわけにはいかないからな。
適当に、全員しばらく実家に戻るとでも言っておけ」
「……はい……」
うわ……また呆れられちゃったよ……。
新幹線を降りてからオーリィに連絡すると、
「うそーん!!
ほんなら夏休み中はまりあに会えないんか!?」
と泣いていた……。
ごめんね、オーリィ。
あたしやっぱり、いっぱいいっぱいみたい。
あの朝。
こっそり瑛さんにしてしまった事で。
まっすぐ彼の顔を見る事もできない自分がいた。
なのに彼が後ろを向いてれば、その背中ばかり見てしまう。
こんな事考えてる場合じゃないのに……。
音羽家に着いたのは、その日の夕方の事だった。