六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「皆、よく来たね。
ゆっくりくつろいでください」
留衣さんの家は、相変わらず大きかった。
前に通された部屋にズラリと並んだ夕食に、太一と清良が小躍りする。
「すげっ、伊勢エビだ!」
「これ何?何の肉?」
「まぁまぁ、ゆっくり食べて」
留衣さんも一緒に、にぎやかな夕食会が催された。
「ところで、まりあ」
「はいっ」
「キミ、好きな人なんかはいないだろうね?」
「はっ、はいぃ!?」
突然の質問に、箸をポロリと落としてしまった。
「いや、何だか綺麗になった気がするから」
「やだぁ留衣さん、親戚のオジさんみたい!」
「はは、清良さん、間違いないね」
清良はフォローなのか素なのか……。
とにかく助かった。
「あんな田舎で出会いがあるわけないじゃないですかぁ!」
なるべく明るく口を開いたら、留衣さんも明るく笑い返してくれた。