六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「しかしオーランド・ロットン君を夢中にさせてるんだろう?
瑛に聞いたよ」
「俺はそんな言い方してません」
すぐに瑛さんがツッコんだ。
「夢中になんて……。
確かに付き合おうって言われましたけど」
「はぁぁ!?」
今度は太一が驚いて、箸を落とした。
「けど……。
別にあの人は、あたしの事が好きなわけじゃありません。
この前報告した通り、
彼は最初からあたしが【夢見姫】だから近づいてきたわけで……。
多分今近づいてくる人は皆、
どうせ、あたしの力に興味があるだけですから」
「…………」
普通に言ったつもりなのに、その場はシンとしてしまった。
「あれ?なに?」
「……アンタが後ろ向きな事言うからでしょうが!」
清良に背中をパシッと叩かれた。
「無意識にネガティブになってるよ!
ちゃんとしな!」
「えっ、そう?
なに、なんで?」
「姉ちゃん、今まで『どうせ』なんて言った事なかったよ」