六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
太一の言葉にハッとする。
『どうせ』……。
そうだっけ。
あたし、あまり言わなかったっけ。
「……だって」
「ほら、今度は『だって』だって」
「だって、誕生日の日から、色々ありすぎて……」
反論すると留衣さんがふわりと笑った。
「あのねまりあ、
今の『どうせ』発言は、キミの護衛達に失礼だよ」
「え?」
「彼等はキミの力を利用しようとなんてしてないし、
何よりキミが好きだから、
危険を省みずに傍にいてくれるんだから」
「…………」
「そーよまりあ。
あんたがそんなウジ子になるんなら、
あたし護衛やめるからね」
「えっやだ、清良!」
「冗談よ」
清良はにこりと笑ってくれた。
太一もうなずいている。
ただ一人、瑛さんだけは……。
無表情で、お茶を飲んでいた。