六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「姉ちゃんから離れろ!!」
突然後ろから声がしたと思うと、
銀髪の彼に向かって何かが翔んできた。
バサバサと翼を広げた、大きな鳥だ。
「……また式神か」
彼はうんざりしたように言うと、あたしから一歩離れた。
そして。
ボン!という破裂音がしたかと思うと、
その場に先程のような白煙があがり。
その一瞬で、姿を消してしまった。
「姉ちゃん!!」
「まりあ!!」
「太一!清良!」
また呆然とするあたしの後ろから、2つの足音と声がして。
振り向くと、太一と清良が、駆け寄ってきてくれた。
二人とも、傘をさしていなくて、ずぶ濡れだ。
「姉ちゃん、大丈夫か!?」
「えっと、あの……」
太一が肩をつかんで、あたしの全身を確認する。
何から説明していいかわからないでいると、清良が声をかけてきた。