六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
《ある星見の夜》
音羽家から少し離れた山奥で……。
一人の星見(ほしみ)が夜空の下に立っていた。
夏草が彼女の細い足を刺す。
――星が……近づいている……。
運命の、2つの星が……。
しかし、1つの星はまだ、こちらにある……。
夜空を揺らめいて、どちらに行こうか迷っている……。
迷わないで……。
そう、こちらに来て……。
あなたはもう、逃れられないのだから。
もう1つの星が、流れていくまで。