六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
そして夕飯。
テーブルには、昨日の豪華な料理とは違う、
普通の家庭料理が並んだ。
だって、毎日あんなの食べてたら太っちゃうし、
帰ってから普通のご飯が食べられなくなっちゃう。
「申し訳ございません、
姫様がどうしてもとおっしゃるものですから……」
おひつを運んできた女性が、留衣さんに平謝りする。
留衣さんは気にしないで、と優しく笑った。
「姉ちゃん、偉いなあ……」
「やっとかないと、帰ってから何もしたくなくなっちゃうでしょ?」
「でも本当に、助かりました。
ありがとうございます、姫様」
「いえええ、だから“姫様”はやめてくださいってばぁ」
そんなあたしと女性の様子に、皆が笑う。
ただ一人、瑛さんだけはやはり、無表情でいた。
「いただきまーす」
また賑やかな夕食が始まった。
「おいしいね。
安城のお母さんが教えてくれたの?」
留衣さんがにこにこ笑いながら聞いてくる。