六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「はい。
田舎で他にやる事がないってのもありますけど」
「それにしたって、大したものだよ」
太一がうなずく。
「やっぱ、安心するなー、こういうの」
「うん、うん。
昨日みたいなご馳走もたまには食べたいけどね」
清良が冗談ぽく言った。
「瑛も感動しただろ。
こういう食事をして」
「は?感動ですか?」
留衣さんに話をふられた瑛さんは、首をかしげる。
「いや……こう、大勢で食卓を囲む事がないだろ?
僕もだけど、やはりこっちの方が美味しく感じる。
そう思わないか?」
「……その精神的効果はわかりません。
が、姫が作るものはうまいと思います」
留衣さんに気を使ってるのか、あたしを姫と呼び、
料理を褒めた瑛さんに太一と清良が驚いて目を丸くする。
あたしも、ビックリしてしまった。
「……なんだ、お前等その顔は」
「や……いつもイヤミしか言わないから」