六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
太一に連れて来られたのは、道場の横の庭だった。
外で手合わせできるようにか、草は綺麗に刈られている。
上を見上げると、星が良く見えた。
「綺麗……」
「ホントだ。
まぁ実家も田舎だから見えるけどな。
木に隠れちまってるもんなぁ」
あたし達は道場の入口に並んで座る。
「で……どうしたの?」
「うん……」
太一は少し黙った後、決意したように口を開いた。
「……単刀直入に言うわ」
「うん?」
「俺、姉ちゃんの事、好きなんだ」
「…………え?」
「……好きなんだ」
言い聞かせるように繰り返した太一は、あたしの方を見つめた。
「す、きって……」
「……軽蔑するかもしんねぇけどさ、
俺はずっと……姉ちゃんを女として見てた」
「…………!」
太一の大きな手が、あたしの手を握った。
途端に心臓がうるさいくらいに鳴りはじめる。