六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
その言葉の意味がわからないわけはない。
だけど……。
ずっと弟だった人なのに……。
「俺は物心ついた時から、
姉ちゃんと血が繋がってないって、知ってた。
だから許せとは言えないけど……。
……ずっと、好きだった」
「太一……」
「……ごめん。
ごめん、姉ちゃん……」
月明かりの下の太一の顔が、歪む。
「姉ちゃんが困るってわかってても、
他の男の物になるのを黙って見てられなかった……」
「他の……って……」
「……岡崎瑛しかいないじゃん……」
名前を聞いただけで、頬に血が集まってしまう。
「……そんな、そんな事にはならないよ……」
「……本当に?
好きじゃないの?」
「うん……」
「じゃあ……」
「!」
星が見えなくなった。
太一が、あたしを抱きしめたんだ。
早い鼓動が、合わさった胸から伝わってくる。