六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】

「……まりあ」


「太一……」


もう、姉ちゃんって呼んでくれないの？


そう思うと、次から次に涙が溢れてきた。



ずっと、なんて、いつから？


本当に、気の遠くなるような時間をずっと一緒に過ごしてきたのに。


全然気づかなかったよ……。



「ごめん……お願い、離して……」


「まりあ……」


「太一、あたしは……

太一と姉弟でいたい……っ」


涙でぼやけた太一の顔が、くしゃりと歪んでしまった。


徐々に、体を拘束していた力がゆるむ。


「……ごめんなさい……

太一、ごめん……」


「謝るなよ……

てか、謝るのは俺の方だし」


「ごめ……」


しゃくりあげてしまって、言葉にならない。


太一はパニックになってしまったあたしの頭を、優しくなでた。


「……姉ちゃん、覚えといて。

俺は、姉ちゃんが好きだから。

ずっと待ってる」